日本料理のマナー・作法

食事のマナーは、堅くなって窮屈な思いをするためにあるのではなく、会食をより楽しいものとするためのものです。

日本料理の種類

正式な日本料理には、本膳料理・会席料理・懐石料理・精進料理があります。

本膳料理

三汁五菜、三汁七菜からなる脚付きの膳が並べられた古くからの重要な宴席料理です。

会席料理

本膳料理の流れをくむ、改まった席や宴席での代表的な料理です。
一汁二菜(刺身・煮物・焼物)、二汁五菜などに整えられており、料理の最後にご飯と汁物が出てきます。

懐石料理

茶道と共に発達した料理で、正しくは「茶懐石料理」と言います。
本来は、お茶席で出されるもので、禅僧が温めた石を懐に入れて空腹をしのいだことから、この名が付いたと言います。
料理の出る順序が決まっているので、出された順に頂いていきましょう。
ご飯と汁物、お刺身や和え物などの向付、皿に盛られたお料理を皆で取り回します。

精進料理

肉や魚などの動物性蛋白質を使わない料理の事です。 質素に思えるかもしれませんが、逆に湯葉などの大豆加工品や麩、こんにゃくなどのバリエーションが豊富で工夫されています。

箸の正しい使い方

和食の作法は、箸に始まり箸に終わると言います。
@ お箸はなるべく先だけ(2〜3cm)を使って、汚さないように食べます。
A 箸置きがあればそれを使いますが、ない場合はお箸紙を結んで箸置きにします。
B 使い終わった箸はきれいにそろえて箸置きに置きます。
  箸置きがない場合は、 お箸紙の中に箸を入れ、先を半分ほど折っておきます。
  箸置きがなく、お箸紙を結んで箸置きにした場合は、
  その中へ、食事中に使った部分を隠すように箸先を入れます。

上級編マナーポイント
@ 箸置きもお箸紙も手元にない場合は、懐紙で代用します。
A お皿のお料理を取り回す場合、返し箸をすると反対側が汚れますから、
  お取り箸を持ってきてもらいましょう。
B 茶懐石での八寸で用いられる両細は、海のものと山のものを使い分けるための
  箸ですから、その区別をはっきりしなくてはいけません。
C 飯椀を左手に持ったまま菜をはさむような事はさけましょう。

箸の正しいとり方、置き方

箸は、中央より上の方を持つときれいです。
「三手」でとり上げるのが正しいとり方で、置く時もその反対の動作を行います。
@ 右手で箸の中ほどを持ってとり上げます。
A 左手を箸の下に添えて受け、右手を箸に沿って右方向へ滑らせます。
B 右手を箸下にくぐらせて箸を持ち、左手を離します。

椀と箸の正しいとり方、置き方

@ 椀を両手でとり上げ、左手に持ち替えます。
A 右手で箸をとり上げます。
B 椀を持っている左手の薬指と小指の間で箸を受けます。
C 右手を箸に沿って右方向へ滑らせます。
D 右手を箸下にくぐらせて箸を持ち、左手を離します。

箸使いの禁じ手

あ 移り箸 料理に箸をつけた後、それを食べずに別の料理に箸をつけること。
   押し込み箸 口に入れた料理をさらに箸先で押し込む事。
   押しつけ箸 ご飯を食べる前に、茶碗の中のご飯を箸で押し付けて固める事。
か かき箸 器に口をつけて、お箸で料理をかき込む事。
   重ね箸 同じ料理や同じものばかり食べる事。
   空箸 箸を料理につけたのに、食べずに戻す事。
さ さぐり箸 料理を箸でかき回したり、器の下の方にある料理を返したりする事。
   刺し箸 料理に箸を突き刺して食べる事。
   指し箸 箸で人を指す事。
た 突き立て箸 ご飯に箸を突き立てる事。
   たたき箸 箸で食器の縁をたたく事。
な 涙箸 箸で取った食べ物から汁が垂れる事。
   握り箸 箸を握ったまま器を持つ事。
   ねぶり箸 箸先をなめたり、箸に付いたものをなめて取る事。
は 拾い箸 食べ物を箸から箸へ渡す事。
        火葬場のお骨拾いを連想させるのでタブーです。
   振り上げ箸 話をしながら箸を振り回す事。
ま 迷い箸 どれを食べようかと迷って、あちこち箸を動かす事。
   回し箸 汁物の中をぐるぐるとかき回す事。
        みそが沈んでいる時などは、サッと一回混ぜるだけにします。
   もぎ箸 箸に付いたご飯粒などを口でもぎ取る事。
や よせ箸 器を箸先で引き寄せる事。
わ 渡し箸 箸置きを使わず、器の上に箸を置く事。

器の扱い方

器は両手でとり上げるのが基本です。
原則として、器は、左手に持ち、胸元に引き寄せるようにして形良くいただきます。
器の中には、非常に繊細なものや傷つきやすいもの、高価なものなどがあるので両手で丁寧に扱う事を心がけてください。
食事の途中で器をとり上げる時は、かならず箸を置いてから、両手でとり上げます。
その後、左手でしっかり持ってから右手を離し、箸をとり上げます。

ポイント
@ 器は、箸を置かずにとり上げたり、左手だけでとり上げてはいけません。
A 器を持つ時、親指を中に入れると料理に指が触れてしまうので注意しましょう。
B 塗りのお椀などの蓋が取れない時は、
  左手で椀の縁を加減しながら強く押さえると取れます。
C 器を引きずると、底でテーブルを傷付ける事があるので、
  必ず両手でとり上げて移動させましょう。
D 繊細な器の場合、重ねると互いに傷付けてしまう事があります。
  食べ終わった器を勝手に重ねて片付けるのはタブーです。

座布団の座り方

座布団の上を歩いたり、座る時に座布団を踏みつけ座ることはやめましょう。
@ 主人にすすめられるまで、座布団の下座に座っています。
A すすめられたら礼を述べ、両手を軽く握って座布団の両側につき、
  その腕を支えにしてひざを進めます。
B 座布団の中央まで移動したら、膝をそろえて座り、
  背筋を伸ばして、手はももの上で重ねます。

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