静岡の和食処

鱧は梅雨の雨を飲んで旨くなると言われており、梅雨の明ける7月になると脂が乗り始 め旬となります。

鱧は、いろいろな調理法があり、造りにして良し、酢の物にして良し、焼いて良し、揚げて良し、しゃぶ鍋にして良しと、 まさに万能食材です。
ただ、最大の難点は、 体中に頭から尾っぽにかけて連なるように生えている小骨。
そのままでは、どうしてもこの小骨が、口内にに突き刺さってしまい、どうしようもありません。
煮ても焼いても骨っぽいこの魚に、先人は苦労されたようで、試行錯誤の結果、 一寸(約3センチ)の間に24切れ包丁の目を入れる「骨切り」という技法が編み出されました。

なぜ夏に鱧?
昔、まだ交通手段がない当時、魚を運んでくる行商人を「担ぎ」と呼んでいました。
海水を張った箱の中に魚を入れ、それを担いで運ぶ行商人の姿から「担ぎ」と呼ばれていたようです。
その担ぎによって、日本海の若狭から有名な鯖街道を通り、ひと塩物の鯖やぐぢ(甘鯛)などの魚がまかなわれていたのですが、夏場になりますと、炎天下の中、ほとんどの魚は暑さや酸欠で死んでしまいます。
しかし、獰猛で非常に生命力の強い鱧だけが生きたまま運ぶ事ができたのです。

獰猛な鱧
料理人が魚を水洗いする時、「しめる」という作業をします。
これは、人間で云う頚椎の骨を切断し、脳から体に伝わる非常事態の信号を切断してしまう作業です。
これによって死後硬直を避けることができ、 活きの良いお造りを作る秘訣なのです。
大概の魚は、この「しめる」という作業をしますと徐々に息絶えていきますが、 鱧はしぶとく、首の骨が切られているにもかかわらず目の前に指でも出そうものなら噛み付いてきます。 
また歯がサメの歯と似ており、噛まれた指を引き抜こうとしますと悲惨な事になってしまいます。
鱧の生命力はそれほど強く、「生命力の強い魚を食べると精が付く」という考え方から、昔の人は好んで鱧を食していたようです。

鱧に含まれる主な成分とその効能
鱧(ハモ)の旬は、「金ハモ」「松茸ハモ」「名残ハモ」などと呼ばれる、産卵を終えて食欲が増し、脂がのって味にコシが出てくる秋もあります。
夏バテ防止に、 シコシコと歯ごたえのハモの刺身、 焼き物、 ハモ鍋、 ハモ雑炊など、ハモ料理を味わってみませんか?
主な成分とその効能
ハモの皮にはコンドロイチンがたくさん含まれており、皮膚の老化を防止する効果がありますので、紫外線が強く、体力を消耗する夏には打って付けの魚といえます。
DHA
コレステロール抑制 精神安定 動脈硬化 白内障 不眠症 痴呆症 視力回復 免疫力アップ 記憶力向上 生活習慣病
ビタミンA
抗酸化作用 美肌 粘膜 目疲れ ガン予防 動脈硬化 風邪予防 免疫力アップ 生殖機能維持
ビタミンD
骨粗しょう症 虫歯 目 筋肉 ホルモンバランス 糖尿病 ガン予防